キッチン・フードサービスコンサルタントとは-2

今日は厨房計画・設計を施工会社と分離するか・しないかについて・・・

 

厨房計画・設計において設計&施工(製造・販売・施工を行う総合厨房会社とします)が同じ会社の場合には、どうしても自社製品を優先的にスペックしてしまう傾向にあります。それは自社工場を稼働させる必要があると共に、原価を少しでも下げるためです。これはメーカーでも総合厨房会社にとっては当然の流れといえるでしょう。しかしながら、それら自社製品を多く計画することが果たしてオーナーサイド(ここの解釈は少し複雑なため後述)にとって、ベストであるか・・・ということになります。

これに対して設計と施行を分離してキッチン・フードサービスコンサルタント(厨房設計者ということにします)が厨房計画を行う場合には、あくまでオーナーにとってベストな、オーナーが求める提案+αを行います。したがって、最良と思われる動線計画及び、各機能についてベストな機器といわれるものをスペックし、厨房機能を最大限に発揮させることを目標とします。ただ、各プロジェクトには予算がつきものですので、理想を目指しながらもコストをいかに落としていくかというのも設計者にとって必須の調整能力といえます。ここで大事なことは、まず最初に理想形を作りだすことによってオーナーサイドとも様々な議論が展開できるようになるということです。この時点で、オーナーサイドが考えていた以上の計画を提案できたならば、なお良しです。これらの理想案の提案を行うことで、より良い厨房計画になっていくということはこれまでの経験から確かなことです。

総合厨房会社による設計の質が必ずしも悪いということはありませんが、我々が設計・提出する図面と明らかに異なる点があります。それは、総合厨房会社が作成・提出する図面はあくまで、厨房エリアのみの図面しかないということです。当然ながら、我々も厨房エリアを拡大した図面は提出しますが、より広い範囲における動線計画が大切になってきますので全体が分かる図面を必ず付けます。もう少し掘り下げますと、総合厨房会社における設計図は厨房エリア以外はばっさりカットしてしまいますが、我々は全体の建築図の中に作図し、必要に応じて縮尺を変更することで厨房エリアを拡大したり、全体動線を確認するための図面を作成します。つまりは、より広い範囲における視野がある(求められる)のが、キッチン・フードサービスコンサルタントであり、厨房設計者といえます。

もうひとつ、重要は差異があります。それは、立場の違いです。

 

総合厨房会社はあくまで、厨房機器メーカー・施行会社という位置づけになりますので、ヒエラルキーからするとオーナー⇒建築・設備・内装設計会社⇒建築・設備・内装施行会社⇒厨房施行会社となり、立場的に非常に弱くなってしまい、厨房を構築する上で非常に不利になるということです。厨房施設を設計していくことは、建築・設備・内装設計会社と常に打ち合わせが発生することになりますが、設計者と施工者という立場となってしまい、どうしても対等な立場にはなれないのがほとんどです。これは大きなプロジェクトになればなるほど顕著であり、立場的に建築・設備・内装設計会社と対等なポジションとなる厨房設計者をたてるということは非常に重要になってきます。厨房設計者が入ることにより、建築・設備・内装設計会社との打ち合わせはよりスムーズに行うことが可能となり、施行段階では建築建築・設備・内装施行会社に対しても設計者の立場として打ち合わせを行うことができるため、厨房施設を構築する上で不利となるようなことを抑制することができるからです。

ここでオーナーサイドという解釈についてお話します。

まずは、ホテルプロジェクトの場合ですが、大きく分けて以下2つに分かれます。

①ホテルを建築するにあたって資金を提供する会社(建築主:ビルオーナー)と実際の運営を行う運営会社が分離

※厨房施設の資金提供及び、厨房機器の購入は建築主となり、実際に使用するのは運営会社となります

②建築主(資金提供)と運営が同一の会社

※厨房機器等は建築主が購入し、実際に使用するのも建築主(実際にはそこに属するシェフ)になります

①についてはいわゆる外資系ブランドのホテル名がついているところが該当しまして、一見ホテルを運営している会社が建築主(資金も提供した)であるように思われがちですが、実際には建築主が別に存在します。我々がプロジェクトに参加させて頂くのはこのケースが多く、建築主と契約をすることになります。

②については俗にいう日系ホテルに多い形態であり、①同様に建築物のオーナーと契約を結ぶことになります。

①②について契約までは同じですが、①の場合には実際に運営する会社(特にFB部門担当者)との打ち合わせが主体となって厨房計画が進んでいくことになります。

※FB⇒Food & Beverage部門

 

②の場合でも基本は同じことになりますが、経営サイドとシェフ・FB部門にて内部の話し合いができるため比較的設計が進めやすいといことと、そもそも我々に設計依頼前に経営サイドとシェフ・FB部門にて方針が決定されており、一丸となった厨房計画への思いがあることが決定的に異なるところです。

したがって、②の方が 理想的な厨房を完成させることができる可能性が高くなるということです。

また、①において設計段階でFB部門担当者と十分に打ち合わせした場合でも、プロジェクト終盤になってシェフが決まることが多いため、シェフの変更・追加要望がでてくることがあります。この場合には、建築・設備・予算の各条件が対応できる場合にのみ対応することになりますが、なかなか一筋縄にはいかないことが往々にしてあります。つまり、予算的に低く抑えたい建築主と、いい厨房施設を構築したい運営サイドとの思惑が交錯するというわけです。

※プロジェクトによっては、FB部門ともしっかり打合せできないケースも稀にあります

※実際にはオーナーサイドが強いため、なかなか追加予算がでないのが現実ではありますが・・・

 我々はオーナーサイドと運営会社との板挟みになるわけですが、このような場合にもうまく調整をする必要があります。

今日は、このあたりにしておきましょう・・・