4.冷蔵機器

☆製品概要
断熱パネルを現場にて組み立てていくことで、部屋全体を冷凍・冷蔵温度帯とする
大型レストランから大型施設まで、様々な分野で活躍する
間口・奥行・高さ等、用途・スペースに対して自由にサイズ設計を行えるが、庫内に設置するシェルフ・カート類のサイズ・数量等を考慮し、最大限スペースを有効活用できるように計画すべきといえる
せめて2坪(約6.6㎡)程度以上でないとプレハブ庫を設置することの意味合いが薄れてしまうので計画段階に綿密な検討が必要である
また、計画段階から冷凍機仕様(水冷式・空冷式)及び、設置場所について考慮しておく必要がある

☆製品概要
業務用厨房では縦型・リーチイン/横型・コールドテーブル等と呼ばれ、家庭同様に飲食関係でもほぼ100%の確率で導入されているといえる
サイズとしては日本古来の尺(約30cm)を基本としており
縦型の間口としては600・750・900・1200・1500・1800mm/奥行650・800mm/高さ1900mm前後
横型の間口としては750・900・1200・1500・1800・2100mm/奥行450・600・750mm/高さ800~850mm
が標準となっている※各社ほぼ同等にてラインナップ
欧州等ではホテルパンが効率よく収納できる寸法が基準となっているが、日本では需要が少ないのか独自の寸法構成のまま長年製造が行われている
基本的なモデルは冷風を循環させることで冷却する方式をとっているが、食材の乾燥防止のために冷風を回さずに壁面を冷却するモデルもある

☆製品概要
概して加熱調理直後の食材も投入し冷却・風味を閉じ込めることができるものをブラストチラー、加熱調理直後の食材は基本的に投入できないものを急速凍結庫と分類することができる
仮に冷凍庫・急速凍結庫に加熱調理直後の食材を投入した場合には食材からの湯気で庫内冷却器(アルミフィン部)に霜がついてしまい、すぐに冷却不良を起こすことになる
冷凍庫と急速凍結庫の違いは名前の通り、常温に近い食材や蓄冷材を冷凍庫よりも速く凍結させることができるパワーがあるということ
さらにパワーがあり、アルミフィン部に霜がつきにくい構造になっているものがブラストチラーといえ、加熱後90分以内に3℃以下とするクックチル(調理方法名称)にはかかせない製品であり、冷凍食材をつくる場合にも必須の製品といえる(解凍後の品質差異)
基本的に各社ホテルパン(欧州規格のバット)収納枚数によるバリエーションを揃えており
ホテルパン(1/1サイズ:325×530×65mm)5or6枚・10~12枚・20枚・40枚収納できる製品が多い

☆製品概要
槽に貯めた水を各社独自の方法で冷却(循環できれば、なお冷えやすい)することで仕込んだスープ・ソースを寸胴・角ポット、加熱調理したソース類を一度パッキング・脱気したもの、真空包装した食材をスチームコンベクションオーブンにて低温調理したもの等を投入し、粗熱をとるための機器である
チーラシンクがない場合にはシンクに水を張りオーバーフローさせながら熱をとっていくか、氷をいれていくなどの工夫が必要であるが、特に大量にソース類等を仕込むホテル・ケータリング工場等では必須の機器といえる
その他、ホテルパンにソース類を小分けしてから上記ブラストチラーに投入して冷却するということも可能であるが、やはり空気で冷やすよりも、液体で冷却する方が確実に速い

☆製品概要
名称の通り、庫内を真空にすることによって沸点を下げ、気化熱を利用することにより食材を冷却する機器である
冷却スピードはブラスチラーよりも断然速く、菌類の付着を極力防ぐことができ、上下どこに投入しても均一に冷却できることを長所としているが、冷却原理的に液体類・やわらかい食材等を苦手(飛び散りなどが発生することがある)とし、粗熱をとるまでの機能であり冷凍食品を作ることはできず、屋外にチラー槽を設置する必要がある等、設備的負担が大きいことが短所といえる
こういった特徴から、学校給食センター・食品工場等での採用が多い

※製品概要
高湿度空気を循環させる、温度コントロールした水をバブリングさせる、真空庫内で解凍する等、数は多くないが各社独自の方法を提案している
最近では冷凍技術が発達したため冷凍食材が非常に多くなっていることからも、どんな業態業種でも常に悩まされる課題といえる
一般的な解凍方法としてはシンクの水を流しっぱなしという方法が多いが、冷凍食材を多様する場合にはシンクスペース・水道費用・解凍品質等を考慮するし、解凍機を導入するといった考えも必要となる
特に回転寿司店等、まぐろの解凍品質に悩みを抱えている店舗等には必須な機器といえる

☆製品概要
上記解凍機の前段階で食材を冷凍保管しておく専用機器で、縦型・横型及び、-20℃~-60℃のラインアップがある
一般的な冷凍食材では-20℃程度の通常冷凍温度帯で問題ないが、まぐろ等の魚類・肉の保管には-60℃ストッカーが適していると証明されている
特に、まぐろは漁船でタンパク質酵素分解・脂肪酸化を防ぐために-60℃に急速冷凍されることもあり、長期保管したいならば微生物も活動しない同じ-60℃の超低温度帯を維持できるストッカーを装備することが必須である
※-20℃保管では冷凍焼けを起こしてしまい、商品として出せなくなってしまう恐れがある
一般消費者にはあまり知られていない機器かもしれないが、市場・スーパー・ホテル・寿司店等では100%に近い割合で導入されている機器といえる

☆製品概要
名称の通り、ビール・ジュースボトル等を保冷するための冷蔵庫である
飲料用ショーケースについても上記4-2.冷蔵庫同様に縦型・横型から選択可能であるが、よりボトル類の保冷に適した製品作りとなっている
例えば、ビール中瓶が効率よく入れることができる高さ設定、ボトル類の重量物に耐えることができる棚網構造等となっている等である
また、調理を行う厨房内というよりもサービスパントリーまたは、販売スペース(店舗ならば)に設置することがほとんであり水がかりによる故障が少ないため、冷凍機を下部に設置して飲料が見やすいような設計がなされていることも特徴といえる

☆製品概要
名称の通りビールジョッキ類を冷やすための専用機器である
一般的な冷蔵温度帯(3℃程度)での使用も可能であるが、キンキンに冷えたジョッキを提供するために-15℃前後まで温度を下がることができるのが特徴といえる
※-20℃前後の冷凍温度帯まではいかない
一般的な冷蔵庫・飲料用ショーケース等を代用してグラス・ジョッキを冷却している店舗等もあるが、よりこだわりのビールを出したい、他と差別化したいといった店舗で導入されている

☆製品概要
その名の通りワインをできるだけいい状態で保管しておくための専用機器である
注意が必要な点としてワインセラーは高級製品でよりワインの保管にこだわった製品、ワインクーラーはリーズナブルでそれほど高級なワインを保管することもなく日常的に使われる機器として分類することができる
ワインセラーと呼ばれるものは温度・湿度・振動の少なさ・収納方法等、あらゆる点で工夫がなされており、温度帯についても庫内が均一な温度帯の製品もあれば、上は温度が高く下になればなるほど温度がさがるといった自然原理を利用した1台で赤・白マルチに保管できる製品もある
ワインクーラーについては冷蔵庫では温度帯が低すぎる、日常的なワインをいれて回転させる等の仕様用途の場合に適した製品といえる

☆製品概要
その名の通り、寿司ネタケースを冷蔵保存するためのディスプレイケースである
カウンター等に設置するだけの各社メーカー規格品及び、各店舗のデザイン・オーナーサイドの要望による特注製品に分類できる
各社メーカー規格品は庫内上部に冷媒管を配置し冷気を自然落下させるタイプ、冷媒管の代わりに冷風をダクト内に通すタイプがあり、寿司ネタを乾燥から守るためいづれも庫内に冷風を循環させないようになっている
また、各社メーカー品は小型コンプレッサーを搭載しており、ネタケースの左右いづれかに機械室を搭載しているが、特注製品はコンプレッサーを別置とすることが多く、機械室はダイニングサイドからは見えないような工夫がなされている

☆製品概要
デパ地下のメインといえば洋菓子ショーケースといえるほど花形の存在
当然デパ地下以外でも洋菓子店等ではショーケースによって販売数が大きく異なるため、まさに販売の武器となる製品といえる
各社ある程度の規格品はラインナップしているが、店舗の顔となることから特注仕様となることも多い
第一印象が大きく異なる要因としてはガラスの仕様と照明といえる
デパ地下で見られるケースのガラスの多くは高透過ガラス(ミュージアムガラス)といわれるもので、写り込みが少なく透過率が高いためにショートケーキの白・赤がはっきりと見える
また、最近では熱を持ちにくいLED照明も多くなってきているが、従来からの蛍光灯タイプにしても洋菓子用としての最適の照度・彩度を各社研究、採用している※ただ、店舗全体での照明計画におけるバランスも必要となるため、時には照明デザイナーとの調整も必要である
その他、冷蔵機器のためにコンプレッサーが必要となるが、デパ地下のように水冷式とし排熱がほとんどないようにするか、空冷式とする場合には給排気用としてガラリを設けることが必要となるため意匠面との相談が必須となる

☆製品概要
アイスクリーム・ジェラートを最適温度でディスプレイするための専用機器であり、アイスクリームは-15~18℃程度、ジェラートは-10℃程度が最適温度といわれている
洋菓子ではショーケースを特注することも多いが、アイスクリーム・ジェラートをディスプレイするための温度管理は非常に難しいとされるため特注対応ができるメーカーは日本でも少ない
ジェラートについてはイタリアからの輸入ケースを採用する店舗が多いといえ、イタリアらしいダイナミックなデザインが特徴である
洋菓子ケースは庫内を冷風循環することで全体的に保冷する構造が多いが、アイス・ジェラートケースについてはアイス・ジェラートの直上にエアカーテンを設けることで温度を維持していることが多く、中には回転式もある

☆製品概要
スーパー・コンビニで導入されているシステム化されたショーケースである
ほとんどの場合は大型コンプレッサーを店外に設置(店舗内ショーケースにコンプレッサーを内蔵していない)し、店内のショーケースを連結設置、冷媒管溶接をすることでディスプレイ面積を増やし、効率よく冷却できるように設計されている
各種肉・魚・野菜・日配品により形状・温度設定がなされており、エリア面積によりショーケース選択を行っていく
洋菓子ショーケースのように各店舗に合わせて特注するというよりかは、投資効率の面からも各社のラインナップ製品を多少アレンジ・組み合わせていくことがほとんどといえる

☆製品概要
スーパーではショーケースの故障による販売チャンスロス及び、商品の品質悪化を防ぐために一括で温度監視ができ、いち早く警報を感知できるようなシステムを導入することが求められており、各社が開発・販売している
中でも各店舗で管理するものと、オンライン化することでメーカーによる随時管理ができるシステムがあり、用途に応じて選択することが可能である
また、スーパーにおける電気コストの多くはショーケース・空調となることからそれらと照明等を効率的に運用するための省エネ用統合ソフトもある